3000mから海抜O零ZER0 mへ
前 篇 安曇野から白馬の頂上、其処から朝日小屋まで
栂海新道は普通、親不知海岸から南下して朝日岳までのコースを言います。昔からの登山道では無くて50年前に地元の山岳会が自分たちで切り開いて作った道です。完成するまで色々の曲折を辿って作りあげ、今でもマイナーなルートで北アのように混んではいませんが、最近はは結構人が訪れています。コースが長いし小屋は無人なので全て自分で始末をつけながら歩かないと行けません。
この年は天候不順で地元でも大きな災害があり、夏山山行は計画していた黒部源流の赤木沢も断念せざるを得ず結局行けなくなりました。天候が落ち着てからと思っていると、台風が次々来るので結局秋になってしまいました。以前から行きたいと思っていた栂海新道を歩く事にしました。夏は人が多いけれど私が歩いたときは殆ど人は入らず、静かな山を堪能できました。皆さんも是非あるいて下さい。
1日目 (10月1日) 前日に安曇野にある知り合いのM氏が夫婦でやっているペンションに泊まりました。他のお客もいないので栂池自然公園まで一緒に行きゴンドラとロープウェイで上がりました。公園周辺は紅葉が盛りで天気も良く輝いていました。M氏はその上の天狗原まで付き合ってくれました。
此処には春スキーでは何度も来ているのですが雪のないシーズンは何度も来ていますが、雪のない時期は初めてです。雪のあるシーズンはブッシュは隠れ岳樺の葉は落ちシラビソはまばらに生えているだけなので、鹿島鎗、五竜岳などが良く見えるのですが、この季節では山並みは見えず紅葉の森を歩くと傾斜が緩くなりハイマツが出てくると天狗原が近くなります。10時20分に着きました。雪の無い時はこの辺りは湿原になっています。少し休んでM氏と別れ白馬乗鞍に向かいます。春スキーで此処に来ると、荷物を置いて登り一本滑っていました。白馬乗鞍迄標高差は250m程です。普通の登山道と思っていましたが大きな溶岩の塊がごろごろして歩き難い道となっています。乗鞍の上は平らな台地のように盛り上がり、ガスで見通しが利かなくなった頃に大きなケルンのある頂上に着きました。此処から白馬大池に向かって下りとなります。此処も大きな溶岩の塊がゴロゴロして歩き難い所で注意して下ります。時折ガスが晴れて小蓮華辺りまで見えますがスッキリとはガスが取れません。
大池山荘横のベンチで昼を済ませ12時30分頃出発、4人ほどの先行者がガスの中に現れ、追いついた所に雷鳥の親子が二組居ました。全部で7,8羽、白馬大池をバックに雷鳥の写真を撮る。その後、4人組と前後しながらガスの中を頂上に向かいます。船越の頭を13時30分に過ぎ、漸く小蓮華岳に14時35分頃に着く。この頃から周囲のガスが取れ出して明日歩く雪倉に続く稜線が現れ、行く手の白馬岳頂上も見えてきます。小蓮華からだらだらと下って鞍部から少し登ると三国境に着き小休止、後ろから4人組が追いついてきました。この4人は男1人女性3人、鹿児島からのパーティで今日は蓮華温泉から朝早く登って来たとか。この頃になると上空はすっかり晴れ渡り振り返った稜線のピークの上から三日月が出ています。ここから頂上は1ピッチと歩き始めたがまだ登りは続き、頂上には漸く16時50分に着きました。雲海は2,000m位の位置に広がり、劔岳を筆頭に山々が続き槍ヶ岳も遠くに連なっています。鹿児島の人達と写真を撮り合って山々の眺めを満喫して頂上小屋に入ると、遅いですよと苦言を呈されました。この小屋ではモンベル会員は500円引とのことでそれでビールを買います。大きな頂上小屋も人は少なく8畳の部屋に二人、相方は明日から祖母谷から黒部下の廊下を歩き平の小屋から五色ヶ原を経由して室堂に回るとか、お互いに先が長い、無事を祈る。食堂では鹿児島4人組と同席して九州の山のことなど話す。季節外れの山小屋はゆっくり過ごせて和やかです。
栂池自然園9:00~天狗原10:20~乗鞍ケルン11:30~白馬大池12:20~船越の頭 13:25~小蓮華岳14:40~三国別れ15:35~白馬岳頂上16:50~頂上小屋17:30
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2日目、10月2日 快晴 行程:白馬岳~三国境~雪倉岳~水平道分岐~朝日小屋(泊)
雲海が広がってはいるものの上空は快晴、劔岳も昨日と同じように雲海に浮かんでいる。小屋を出るのが5時40分となり頂上を6時にスタート。三国別れから正面に雪倉岳、左手前に鉢ヶ岳を見ながらずんずん下る。小さな鞍部から少し登り坂になる所で後から若者が言葉を交わして追い抜いて行った。小さなピークで右に蓮華温泉への分岐を過ぎると間もなく鉢ヶ岳の鞍部に出る。左下に氷河湖の長池が見える。ルートは鉢ヶ岳をほぼ水平に巻きながら暫く進むと避難小屋が遠くに見えてくる。鉢ヶ岳と雪倉岳の鞍部に東側を石垣でガードされたしっかりした避難小屋が建っている。小休止して登りにかかる。西からの強い風があるが冷たくはなく汗を吹き飛ばしてくれるので気持ちよく歩ける。頑張って1ピッチで歩き南北に丸い頂上に着く。9時40分、ここで景色を眺めながら休憩。春スキーでは3度頂上を踏んだことがあるが、こうやって縦走するのは初めてだ。少し下ると雪倉池が見える。ここから見るとカールボーデンに見えなくはないが、周囲の広がりとか中腹という位置からみると矢張り噴火口の跡かも、とか考えながら下る。随分下る、主稜線を外れて北東に向かって下る、左は懸崖になっている。崩れやすい急坂を下って今度は主稜線に戻るように西にカーブしてトラバースし、主稜線を越して赤男山との鞍部の下に道は続いている。600m下って疲れて休憩する。座って振り返ると雪倉岳と赤男山の稜線は途中で断ち切られて断崖になっている。
朝日小屋は小ぢんまりとして、1階が管理人室、食堂、トイレ、玄関横の自炊スペース等、2階が10畳ほどの部屋が6室と大部屋がある。水が豊富なのでトイレは水洗、シャワートイレまであり、清潔で臭気なし。食堂も清潔でお茶・お湯が準備されている。夕食時には女主人が出て食事の説明があった。郷土の風味ということで、富山湾のホタルイカの沖漬・カジキの昆布巻きが出てメインはおでんと竜田揚げだった。此処の食事は美味しいことで評判ですが、今回もおいしく頂きました。天候では明日は停滞になりそうです。
ここから赤男山の西側をトラバース気味に道は続き、シラビソの林に入ったりする。木道を敷いた湿原が続く。湿原は草もみじに変わり岳樺やナナカマドは黄色、赤に染まり夏はさぞ高山植物が綺麗なことと思われた。真正面の朝日岳は紅葉で彩られとても綺麗に見えてきた頃に漸く水平道の分岐に着いた。ここからも途中の湿原の紅葉は素晴らしかったけど、まだ着かないのかと何度も思いながら漸く朝日小屋が見えるようになる。そこからもかなり歩いてチングルマの穂がたなびく水谷のコルに合流してその上の朝日小屋に着いたのは15時になっていた。この頃から急にガスが出て雨も降りだした。
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